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中国、IoTで街の清掃作業を効率化

街中の至るところにあるごみ箱や、朝早くから夜遅くまで働く清掃員、街中をくまなく走り回る清掃車…。清掃事業は都市における一大事業だが、今もなお多くの企業は人力や経験に依存し、デジタル技術による効率化はあまり進んでいない。この分野にIoTを導入して大幅なコスト削減や業務効率化を進めようとしているのが、中国のテック企業、酷陸科技(Coollu Network Technology)だ。AIによるデータ分析も加えたシステムソリューションを提供し、設備稼働率を向上。同社の羅舟路CEOによると、これによりソリューション導入前にくらべて「10~15%」のコスト削減が可能になるという。中国の清掃事業の市場規模は今年も2桁の勢いで拡大する見通しで、同社のシステムも今後、成長が期待されている。
酷陸は清掃関連事業者が高効率のIoTデータサービスを利用できるよう、ソフト・ハードを一体化したシステムソリューションを提供している。羅CEOは36krの取材に対し、現在の清掃事業において二つの課題があると指摘した。一つ目は、従来の清掃業者には清掃設備、清掃員、清掃エリアのごみ分布状況など重要なデータの取得が難しく、有効に利用するすべがないことだ。そのため設備が遊休状態になったり、稼働率が低くなったりする等の状況が発生しやすい。二つ目は清掃設備の稼働状況のデータがないため設備のメンテナンス効率が悪くなり、故障率が高くなることだ。

これらの問題に対し、酷陸はIoT技術を利用して清掃事業の関連データを収集。そのデータをAIアルゴリズムで分析することによって、事業運営を大幅に効率化する方法を導き出すことができるという。羅CEOはまた「最終的な目標は清掃業者の総合的な設備使用率を向上させ、設備の遊休率と故障率を低下させることだ」と語った。
データ収集端末の分野では同社は、ごみ箱に搭載してその位置情報や、ごみが満杯になったとの情報をデータセンターに対して発信するICチップ「酷陸雲桶芯片」、清掃員の管理に使うスマートブレスレット「酷陸雲環」、設備のスマートメンテナンスや故障予測サービスに使う「酷陸雲盒」などを自社開発している。
同社には25年以上にわたって積み上げてきた清掃設備関連の技術があり、「デバイス・フィンガー・プリンティング」と呼ばれる端末識別技術を用いて業界初となる設備の故障識別データベースを構築している。個々の設備と、故障の特徴をデータベースで照合し、さらにアルゴリズムを利用したAIで診断することにより、清掃設備の故障診断が可能となり、メンテナンスのアドバイスもできる。

同社のソリューションを採用した企業は、設備の故障で作業に支障をきたす時間が35~45%減少し、設備の稼働効率が50~55%向上。メンテナンスにかかるコストは20~25%減少し、全体的なコストも10~15%減少したという。

羅氏は自社の競争力は「データ」にあると考えている。酷陸科技は清掃設備のデータを長年にわたって蓄積しており、そのデータと事業運営データを組み合わせることで、清掃業者に高効率の車両配置や設備メンテナンスなどを含むデジタル化運営システムを提供することができるからだ。

収益モデルに関しては、同社の主な売り上げはプロジェクト全体のソリューションの販売とそこから派生するデータサービスによって構成されているという。
経済の発展に伴い、政府の「環衛(環境衛生、主に清掃事業を指す)」事業に対する投資もますます大きくなっており、中国国内の市場も拡大している。国家統計局のデータでは、2018年の都市および農村の環衛関連の財政支出は2500億元(約3兆7500億円)に達し、過去3年間は平均16.7%前後で成長しているという。東方証券(ORIENT SECURITIES)のリポートでは2019年の全国の環衛市場の規模は2200億元(約3兆3000億円)に達しており、2020と2021年の成長率はそれぞれ11.9%と7.6%となる見込みだ。関連サービス業界における新規の契約も増加しており、新規の発注額だけを見ると2017年では前年同期比34.5%増の301億元(約4500億円)、2018年では同62.9%増の491億元(約7365億円)となった。

現在、環境衛生関連の業界では「僑銀環保」「玉禾田」などの上場企業の売上総利益率が20~30%の水準にとどまっており、デジタル化によるコスト削減と効率向上を目指す大きなモチベーションが存在する。
                                     日本経済新聞より引用(2020年6月4日版)

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